1. タイがマリファナを合法化したニュースの概要と時期
2022年6月、タイ政府はマリファナ（大麻）を麻薬リストから除外し、医療や商業目的での利用を合法化しました。これは東南アジア諸国の中で初めての大規模な合法化政策であり、世界的にも注目を集めました。
合法化により、タイでは家庭での登録制による栽培や、CBD製品の販売、医療機関での処方などが可能となり、各地で大麻関連ビジネスが一気に拡大しました。
ただし「自由に吸える国」というイメージは誤解であり、公共の場での喫煙は禁止されています。また、現在（2025年）は新政権のもとで娯楽目的の使用を再び禁止する法案が審議中であり、合法状態は“暫定的”とも言える状況です。
以下記事では、マリファナについて解説しています。
2. 合法化に至るまでの歴史とタイ政府の動き
タイの大麻合法化は突発的なものではありません。2018年にはアジアで初めて医療用大麻が合法化され、その後段階的に法整備が進みました。
この動きを主導したのが、当時の保健相アヌティン氏です。彼は「医療・経済の二本柱」で国を再生するとして、大麻産業の合法化を強く推進。2022年の合法化はその集大成となりました。
同年には政府公式アプリ「PlookGanja（プルックガンジャ）」を通じて100万人以上が家庭栽培の登録を行い、地方の農家支援策としても大きな役割を果たしました。
3. マリファナ合法化の主な理由｜医療・経済・観光の観点から
■ 医療分野での期待
マリファナは、タイ伝統医療において古くから用いられてきた歴史があり、近年では慢性疼痛・がん・てんかんなどへの治療効果も期待されています。医療用としての需要が合法化の大きな推進力になりました。
■ 地方経済の活性化
政府は大麻を地方経済の柱として位置づけ、貧困農家への収入源として奨励。栽培登録制度を導入し、農村部を中心に急速に普及しました。
■ 観光戦略の一環として
「グリーンツーリズム」として、CBDスパや大麻カフェなどを展開。観光産業との連携により、外国人旅行者の関心も集めました。
4. 現在の法律・ルールと誤解されやすいポイント
■ 実は全面自由ではない
- 公共の場での喫煙は禁止（罰金・懲役あり）
- 20歳未満や妊婦への販売・使用は禁止
- 販売には政府への登録が必要
- 娯楽使用は“合法”と明言されておらず、実質グレー
■ 外国人観光客の注意点
一部の観光客が「合法＝自由に吸える」と誤認し、ホテルや公共スペースでの喫煙で摘発された例もあります。観光目的での大麻使用には現地ルールの理解が不可欠です。
■ 2025年現在、法改正の動きあり
2024年末に成立したセーター新政権は、娯楽目的の使用を再び禁止する法案を提出。2025年7月現在も審議中で、合法化政策は見直される可能性があります。
5. タイのマリファナ合法化が世界・日本に与える影響とは？
■ アジア諸国の政策に影響
タイの動きは韓国、台湾、マレーシアなどの医療用大麻議論のきっかけとなり、アジア全体で「規制緩和か厳格化か」の議論が活発になっています。
■ 日本国内への波及効果
日本では2023年にCBD医薬品の使用を認める法改正が成立し、マリファナ成分に対する法的・社会的な見直しが進行中です。タイで合法体験をした日本人によるSNS発信も増え、若年層を中心に意識の変化が見られます。
■ 国際的には「アジアの例外」として注目
欧米の大麻産業関係者やWHOも、タイの政策を“規制モデル”として注視しており、今後は医療観光・CBD輸出などを通じて新たな国際競争力を得る可能性があります。
まとめ：なぜタイはマリファナを合法化したのか？医療・経済・観光が動かした国家戦略
タイのマリファナ合法化は、「医療効果の活用」「地方経済の再生」「観光資源の拡充」という現実的かつ戦略的な理由に基づいて実施されました。決して自由化だけを目的とした政策ではなく、国の成長戦略の一環として進められたものです。
ただし2025年現在、この政策は転換点を迎えており、娯楽使用への規制強化が再び議論されています。今後は“医療・商業利用”を主軸とした制度への再調整が行われる可能性もあります。
日本を含む他国にとっても、タイの事例は大きなヒントとなります。感情論ではなく、科学的根拠と社会的背景に基づいた議論が、より現実的な薬物政策への第一歩となるでしょう。
タイ政府観光局HP
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