フェンタニルとは何か?まず基本を押さえよう
フェンタニルは医療用の強力な合成オピオイドで、モルヒネの約50~100倍の鎮痛力を持ちます。
適切な医療目的では重宝されますが、非医療用途では極めて危険で、わずか数ミリグラムで致死量に達します。
世界での被害拡大と米国の危機
- 米国では2023年に10.5万人以上が薬物過剰で死亡し、その約64%が合成オピオイド関連。
- 未成年の死亡件数は、2010年38件 → 2021年884件と20倍に急増。
- 州によっては「フェンタニル殺人罪」での起訴も行われている。
なぜフェンタニルが流行するのか?
- 製造コストが安価。
- 粉末・錠剤・貼付剤などに加工しやすく、密輸・隠蔽しやすい。
- 中国→メキシコ→米国という供給ルートが主流。
日本への影響は?
- 日本では過去6年間、フェンタニルの税関押収記録はなし(2025年6月現在)。
- ただし、前駆体や錠剤添加剤の流入は懸念されている。
- 日本政府は監視体制の強化と法整備の見直しを進めている。
reuters.com
日本国内での“製造疑惑”と事例
2023年、フェンタニルを染み込ませたシールを用いた殺人事件が報道され、被害者の体内から高濃度のフェンタニルが検出されました。
これにより、日本国内での製造や所持が疑われる事例が発覚しています。
- 指定薬物制度の“抜け穴”を使い、誘導体などの合法ギリギリの物質が流通。
- ネット通販やSNSで拡散される「闇ルート」の存在。
- 警察や厚労省による検査体制と教育の強化が進行中。
名古屋にフェンタニル拠点が存在?
中国系企業が名古屋に現地法人を設立し、アメリカ向けにフェンタニル前駆体の輸出業務を指示していた疑いが報道されました。
高性能な物流網を持つ名古屋が、“密輸の中継地”として使われるリスクが浮上しています。

フェンタニル「日本経由の密輸防止すべき」 グラス駐日米大使が投稿「中国共産党が関与」(産経新聞) - Yahoo!ニュース
グラス駐日米大使は26日、米国で中毒者が増えて社会問題になっている合成麻薬フェンタニルについて、密輸には中国共産党が関与しており、日本経由の不正取引を防ぐべきだと、X(旧ツイッター)に英語と日本語で
- 名古屋港や空港の通関機能の高さが、犯罪組織にとっても魅力に。
- 米国財務省は2025年、中国・メキシコ・日本の関連企業に対し制裁を実施。
- 日本政府は「断固阻止する」とし、今後の監視・連携を強化。
今後の課題と私たちにできること
- 政府:原料段階の監視・摘発、誘導体対策の法整備。
- 医療・教育機関:フェンタニルの知識教育と急変時対応訓練。
- 市民:不審な薬剤は使用しない、万一の時は119通報。
まとめ|フェンタニル危機は“日本の現実”になりつつある
もはやフェンタニルは海外だけの問題ではなくなっています。
名古屋を含む物流拠点を通じて密輸・中継ルートとしての悪用、また国内製造の可能性も無視できません。
日本社会として、情報感度と予防意識を高め、**「静かな毒物」による社会崩壊を防ぐ力**が今、求められています。
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