スマホ斜視とは?症例が急増している背景
「スマホ斜視」とは、長時間にわたってスマートフォンやタブレットを至近距離で見続けることで引き起こされる急性内斜視のことを指します。目の片方が内側に寄ってしまい、両目で物を見る「両眼視」が乱れることで、ものが二重に見える(複視)といった症状が現れます。
近年、子どもを中心にこのスマホ斜視が急増しています。特に小学生から高校生にかけて、視力に問題がなかった子どもが、ある日突然目が寄って見える、まっすぐ見られないといった異常を訴えるケースが増えており、眼科医の間でも深刻な問題として警戒されています。
子どもに現れる症状とセルフチェック方法
スマホ斜視の初期症状には以下のようなサインがあります:
- 物が二重に見える(複視)
- まばたきが増える
- 顔を傾けて画面を見る
- 集中力の低下、目が疲れやすい
- 片目が内側に寄っている
家庭でできるチェック方法としては、5m先の物を見るときに片目ずつ隠して視線のずれがあるか確認することや、フラッシュ撮影を使って瞳の反射位置を比較する方法が有効です。違和感がある場合は、早めの眼科受診をおすすめします。
原因:なぜスマホが斜視を引き起こすのか
スマホ斜視の最大の原因は、「近距離での長時間使用」による目への負荷です。スマートフォンの画面を15〜20cmの距離で凝視し続けることで、目の筋肉が酷使され、内側に引っ張る力が強くなります。
特に成長途中の子どもは、目の筋肉や調節機能がまだ未発達で、長時間の「輻輳(ふくそう:目を寄せる動き)」が癖づくことで、筋肉のバランスが崩れ、急性内斜視を引き起こしてしまいます。視力が正常でも起こるため、見た目だけでは判断が難しいのも特徴です。
いますぐできる家庭での5つの予防策
スマホ斜視を予防するには、日々のスマホ習慣を見直すことが重要です。以下の5つの対策が効果的です。
- スマホとの距離は30cm以上をキープ(できれば50cm)
- 20〜30分に一度は休憩して遠くを見る
- 1日の使用時間を3〜4時間未満に制限
- 姿勢を正しく保ち、寝転びながらの使用を避ける
- 使用時間やルールを家族で共有・設定する
これらはすべて家庭で簡単に実施できる予防法です。まずは「気づくこと」「ルール化すること」が重要です。
医師の診断と治療法について
スマホ斜視は、早期に対応すれば自然に回復する場合もありますが、放置しておくと慢性化し、視力や学業への影響も懸念されます。複視や視線のズレが続く場合は、すみやかに眼科を受診してください。
診断では、両眼視機能や輻輳力の測定などを行い、必要に応じてプリズム眼鏡の処方や、視能訓練士によるトレーニングなどが実施されます。症状が進行している場合は手術が必要になることもあります。
まとめ:スマホ時代の新たな目のリスクに備えよう
スマホ斜視は、現代の子どもたちにとって「見えない危険」です。画面を見すぎることが当たり前になった今だからこそ、正しい距離・使用時間・休憩の意識が求められます。
ご家庭での対策と、子どもの目に対する「気づき」が、将来の視力と生活の質を守るカギになります。目の異変に気づいたら、躊躇せずに専門の眼科で相談してみましょう。